「日常生活には問題ない放射線量」と言いながら、一方で「なるべく外出はしないように。」という報道をしている。「問題ないなら、外出を控えるのは何故?」という疑問が出てきて、混乱が起こるのもやむ得ないと思う。
どうして、こんな一見矛盾した報道をするのか、考えてみた
例えば80マイクロシーベルト/時の放射線を観測したとしても、
「日常生活には問題ない。過剰に反応しないように」と報道している。
そのときに、80マイクロシーベルトの「安全性」を説明するときに出てくる図がこれ↓
通常は約0.1マイクロシーベルト/時程度の自然放射線があるので、一年間に直せば
0.1マイクロシーベルト×24時間×365日=876・・・つまり「約1000マイクロシーベルト=1ミリシーベルトの放射線を誰でも浴びている」ということになるので、「80マイクロシーベルトというのは、人が普通に一年間で浴びる放射線量(1000マイクロシーベルト)に比べれば、たいした量ではないですよ」と説明して、800倍くらいの放射線が計測されたからと言って、過剰に反応しないように説明している。
なるほど、と安心する人も多いと思うが、
「????なにか、腑に落ちない・・・・」という人も多いはずだ。
腑に落ちない理由は
いつの間にか「80マイクロシーベルト/時」が「80マイクロシーベルト」に単位がすり替わっているからだ。
つまり「/時(毎時)」が抜けてしまっている。
たしかに80マイクロシーベルトの放射線を「一時的」に浴びても、ほとんど健康には問題ないと思われる。でもその80マイクロシーベルト/時の放射線を長期間浴び続ければ・・・・
先ほどの計算式で、たとえば一ヶ月とすると
800×24×30=576000マイクロシーベルト=576ミリシーベルトとなり、上の図で言えば、当然健康被害が出てくる数字になってしまう。
だから、「日常生活には問題ない放射線量だが、なるべく外出はしないように。」という説明になるのだろうが、わかりやすく言い換えれば
「日常生活には問題ない放射線量だが、継続的に浴びれば健康に被害が出るおそれある放射線量なので、外出は控えるように」と言い換えるべきではないだろうか。
今のところ最悪の事態には至っていないので、80マイクロシーベルト/時の放射線量も一時的で上がったり下がったりしている。しかし「80マイクロシーベルト/時は一時的な高い値だから大丈夫。不安にならないでくださいよ」と言われても、安心できるはずもない。
福島原発で不具合が明るみにでて、「圧力が下がった」、「水位が上がった」、「想定内に管理されている状況」と報道され、そのたびに一喜一憂しているうちに今の状態になってしまっているからだ。
福島原発ではまさに命を削った作業が、まさにこの瞬間も続けられていて、作業する人が無事で、そして作業が報われることを祈るしかないのだけれど、高い放射線値によって作業が阻まれ、事態が好転するという保証がない現状を考えると、現在の避難指示範囲が妥当なのかどうか、いろいろな専門家の意見を集めて検証してほしいと思う。
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