小規模学校に子どもを通わせるある親の気持ち その2
小規模学校となると、このご時世、統廃合問題が必ず降りかかってきます。私が椋川に引っ越してきた2001年、この学校はすでに全校生徒が10数名だったと思います。普通ならとっくに統廃合されていてもおかしくない状況ですが、この学校はそのような議論すら無かったようです。それというのも地域の方が学校を守ろうと、山村留学の子どもを受け入れたり、校区外からの入学を認める「山里通学」をしていたからです。山村留学の先進地へ地域の方が視察研修に行ったりもしたそうです。現に、2001年当時の在校生のうち、地元生まれの子どもは半分くらいで、残りの半分は親子でこちらに越して来た子や、「山里通学」の子どもでした。ただ、子どもだけを受け入れる「山村留学」は、里親となる地域の方が高齢化などで受け入れる世帯が無かったようで、実現はできなかったと椋川のある方が話しておられました。
親子で移り住む「山村移住」の場合は里親の心配はなく、親子が一緒に生活するので実現のハードルは低くなります。でも、やはり問題はあります。家の確保や、親の仕事といったハードの面です。当時の小学校の校長先生がとても積極的で、親子の受け入れのみならず、空き家の確保や職探しに奔走されていたのをよく覚えています。
とはいえ、家が見つかって親子が入ってもなかなか大変なのです。
入ってきた親子(特に親のほう)と地域の関係です。
子どもは学校さえなじむことができれば、順調にいくようです。ただでさえ子どもは適応力は大きいですし、仮に、人付き合いが苦手な子どもでも少人数の学校なので先生のフォローがしっかり行き届きますので・・・。
一方、親の方は難しい。私が知っているだけでも2世帯の親子が卒業を待たずに親の都合で転出していきました。
一方の家族は、父親の仕事が収入面で見つからなかったことと、母親が田舎暮らしになじめなかった事。
もう一方の家族は、家主の承諾を得ずに犬をたくさん飼育(ブリーダーとして)しはじめ、家主はもちろん地域の方とももめてしまい出て行くことになりました。
特に後者の家族を受け入れていた地域はその「事件」以降、家族受け入れの方針を180度転換して、「受け入れ拒否地区」となってしまっています。
もちろんうまくいっていた親子もあるので、上の例は個人的な選択ミスとも言えなくもないのですが、前者の家族の場合は、事前の十分な情報交換や準備ができていたのか、後者の場合は親子ー学校ー地域の連携がうまくとれていたのか、という懸念はあります。後者の場合は、地域の方針まで変えてしまった訳で、その後の学校の生徒増加の取り組みのブレーキになってしまったことは間違いありません。
とはいえ、成功と失敗がありながらも、地域の支えで小さな学校が統廃合の対象とならなかった事は紛れもない事実だと思います。
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